東京高等裁判所 平成5年(う)122号 判決
被告人 宮崎正巳
〔抄 録〕
職権により調査すると、原判決は、「法令の適用」の項において、原判示第一ないし第六の各罪について、罰条の適用、科刑上一罪の処理、累犯加重をしたうえ、併合罪の処理として、「刑法四五条前段、四七条本文、一〇条、一四条(最も重い判示第六(詐欺罪)の罪の刑に加重)」としており、これに従うと、被告人に対する処断刑の範囲は懲役一月以上二〇年以下ということになる。しかし、原判示第一ないし第六の罪の中には準強制わいせつの罪(第一の事実)があり、同罪の法定刑は六月以上七年以下の懲役であるから、本件における処断刑の下限は懲役六月でなければならない。したがって、原判決には処断刑の範囲について法令適用の誤りがあることに帰するところ、右準強制わいせつ罪の本件全体の中で占める比重のほか、原判決の宣告刑が懲役二年二月と処断刑の上限よりは下限に近い領域で量定されており、かつ、下限の誤差の幅が比較的大きいことなどにかんがみると、右の誤りは判決に影響を及ぼすことが明らかといわなければならない。
(小林 宮嶋 中野)